桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「経済安全保障」

2023年06月15日 (木) 22:26
 半導体を日本国内で製造するための環境整備が、国策によって行われている。政府が税金を投じ、台湾の半導体メーカーTSMCの新工場を国内に誘致したほか、トヨタやNTTなどの半導体を必要とする大手企業による新会社を設立した。
 
 昨年の6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」にも、経済安全保障上の重要な物資として半導体が挙げられているが、半導体は経済安全保障を考えるうえで、本当に大切なもののひとつであり、こうした政府の取組は素晴らしいと感じている。
 
 ところで、「経済財政運営と改革の基本方針2022」には、半導体のほかに、レアアース、電池、そして医薬品が重要物資として名を連ねている。私は昨年の参議院選挙で、「経済安全保障の観点から、医薬品を国内で製造できるようにすること」を公約に掲げ、当選後にも関係各所への働きかけを続けてきたが、半導体と医薬品が重要物資として同列に挙げられていることからは、政府もいよいよ本腰を入れて取り組み始めようとしているのだと感じられる。
 
 医薬品の国内生産を進めるうえでは、まず、医薬品の原材料である原末の国内生産割合を増やしていかなければいけない。ジェネリック医薬品の場合、国内で製造されている原末の割合はわずか30%程度で、残りの70%は海外からの輸入に依存している。主な輸入相手国は中国と韓国であり、今後、中国と台湾の関係が悪化し、中国からの輸入に影響が及ぶことになれば、必要な医薬品が手に入らなくなる可能性があるのである。
 
 そのため、厚労省や経産省に働きかけ、医薬品の原末を国内で製造できるよう、議論を進めている。これを実現するためには、政府だけではなく、製薬メーカーの意向も重要で、一昨日は日本製薬工業協会に伺った。明日は日本製薬団体連合会と話をする予定である。
 
 製薬メーカーがタッグを組み、そこに政府も協力して、原末を国内製造できるようになれば、国内での医薬品の流通が他国の動向に左右されることはなくなる。国内での製造割合を増やせるよう、努めていきたいと思っている。