桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「壊すのは簡単」

2024年01月25日 (木) 19:35
 岸田総理が派閥の解消を命じた。世論調査では評価する方が多いようである。私は無派閥なので影響はないが、所属議員はどうなるのだろうか。

 中選挙区の時代、自民党の力の源泉が派閥であった。当時は、自民党公認候補であっても、候補者を支えるのは党ではなく派閥だった。その背景には、中選挙区では一つの選挙区に同じ党から複数の候補者が立つので、党としての応援が難しかったという理由がある。

 また、派閥から総理を出すには派閥の所属議員を増やすことが大切であり、各派閥は応援する候補者を当選させるため努力する。そして、その結果議員が増えれば、自民党という政党の力が増すことになるのである。

 小選挙区制に変わり、選挙区ごとの党の候補者が一人に絞られたことで、党が公認候補を応援できるようになった。これによって、派閥が持つ一つの役割は終わっている。

 派閥の資金集めをやめることは、今回の裏金という問題の解決策にはなると思うが、今後派閥が人事に口を出さないとなると、誰が人事を行うのだろうか。最終決定権は総理ということになるが、総理が党内の全ての議員を把握しているわけではない。結局誰かと相談しなければならず、それが派閥の長ではない誰かになるというだけなのではないか。

 派閥の人事に不満を抱える議員も多くいると思うが、その不満を上手く抑えるのも派閥の長の仕事であり、それで、それなりに機能してきたのだと思う。今後の人事で、不満を抑える役割は誰が担うのか。損な役回りを引き受ける人はなかなかいない。

 派閥に限ったことではないが、壊すのは簡単でも、新しい体制を作ることは本当に大変である。壊すことを決めたのだから、なるべく多くの議員が、いや国民の皆さんが納得できる体制を作らなければならないと考えている。