引きこもり政策 Social Withdrawal Political Measures

 「引きこもり」は極めて大きな社会問題で、我が国はこの問題の解決に取り組んでいかなければならない。しかし、国だけの対応で解決できるわけではなく、家族を含めた社会全体で、問題の解決に当たらなければならないことは言うまでもない。

 「引きこもり」の原因は様々指摘されているが、根本的には、本人の考え方そして家族関係にあると考えている。この立場に立って考えると、第一の課題は、こじれてしまっている家族関係の再構築である。そのためには、本人そして家族の考え方を変え、両者が歩み寄ることが重要であるが、これを家族だけで解決することはなかなか困難である。そこで、両者に対して適切なアドバイスを送ることができる人が必要となるが、現在カウンセリングの体制は十分に整っていない。実は、カウンセリングの体制に関しては、「引きこもり」の問題に限ったことではなく、心身医学の抱えている、最も大きな課題のひとつである。
 次に、家族関係が改善し、本人の意識が外に向っても、企業が働く場を提供することは容易なことではない。それは、現在の経済状況では、企業として、ほとんど何もできない「引きこもり」の患者さんを受け入れる余裕が無いこと、そして精神的フォローが必要となるが、そのノウハウを理解している企業はほとんど無いからである。
 このために、職業訓練を行うと同時に、考え方を含めた心の問題を解決する場が必要になる。ここで、ある程度職場で必要な技術を身につけ、自分に自信を持つことができた人は、次のステップとして、カウンセリングを行いながら仕事を始めることになる。そして、ここで十分仕事を行えるようになってから、本格的に就職するのである。この場合の国の援助は、職業訓練を行うこと、カウンセリングを行うこと、そして障害者雇用対策を「引きこもり」にまで拡大すること、さらに受け入れ企業の「引きこもり」に対する理解を深めてもらうことである。
 今示した道筋の中で、最も難しいのは、こじれてしまっている家族関係の再構築である。当初は本人に対するカウンセリングを行うことは難しく、家族を中心に行わなければならないが、家族の理解、そして家族の考え方を変えることが困難を極めるからである。
 その原因は、「引きこもり」の病理が確立していないために、家族を含めた親が、仮に適切な治療法であったとしても、自分の概念に固執し、その方向性を受け付けにくくしているからである。この点を解決していくためには、どのようなことが原因で「引きこもり」状態になるのか、そしてこのような場合、どのような対応を取るべきなのかという研究を行い、ガイドラインを作成することである。

 いずれにしても、「引きこもり」の問題は、国の政策だけでは解決しない。家族の意識改革を含めた社会全体で取り組んで行く体制整備を作っていくことが重要である。