桜井充メールマガジン

桜井充メルマガ「大臣の資格なし」

2020年03月12日 (木) 20:35
森法務大臣の根拠のない発言により、国会での審議が立ち往生した。森大臣は、「東日本大震災の時に、いわきの検察官が拘留中の容疑者を理由なく釈放して逃げた」という趣旨の発言を行った。これが、検察を所管する法務大臣の言葉だろうか。こんなめちゃくちゃな発言をするのでは、大臣の資格がないと言われても仕方がないだろう。

今日は参議院の法務委員会が予定されており、私も質疑の時間を貰っていた。新型コロナウィルスについての質問を用意していたのだが、森大臣の発言を受けて委員会は開会できなくなり、貴重な質問の機会を失ってしまった。新型コロナウィルスについてはこれまでも各省庁と議論してきてはいるが、委員会での質疑は重い意味を持つものであり、非常に残念だ。

予定では、新型コロナウィルスが指定感染症に指定されているのは妥当なのかということや、感染拡大の防止策について質問することにしていた。

新型コロナウィルスの検査がなかなかできなかったのは、この感染症がMERSやSARSと同等の指定感染症(二類相当)に指定されたために、検体を扱える人たちが限定されてしまったからである。初期段階で二類相当に指定したことは妥当だと思うが、検査の件数を増やしていくためには、この判断を変更するか、運用を大きく変えていかなければならない。国民の皆さんの不満はここにあるのだから、早急に改善する必要があると考えている。

新型コロナウィルスの特徴の一つは、感染早期に咳が出ることである。その理由の一つは、ウィルスに感染した宿主(患者)の体内に抗体ができて、ウィルスが生きていくことができなくなり、宿主に咳を出させて、体の外に飛び出していこうとするからである。要するに、咳をしている時ほど感染を広めやすいのである。

インフルエンザの場合には、ウィルスの増殖速度が速いので、まず始めに反応熱が出る。その後に抗体ができ、それから咳が出る。つまり、症状は熱から始まり、治りかけになって咳が出るのが一般的である。

ところが、新型コロナウィルスは増殖速度が遅いからだと思うが、潜伏期間が長い。このため、反応熱が出る前に抗体ができてしまう可能性が高い。そのために、始めに咳が出て、後から熱が出てくる場合が多いのだろうと思う。

厚労省は熱が4日以上続いたら検査をするようにと言っているが、こうした点を踏まえると、咳が出た時点で仕事を休ませ、検査を行うようにしない限り、感染拡大を防ぐことはできないと思う。

高齢者施設で、職員と利用者がウィルスに感染しているという報告があった。集団発生の可能性があるので、利用者を別の施設に移し、職員は二週間自宅待機させるべきだ。早急に手を打たなければ、クルーズ船そのものがコロナウィルスの感染源とも言える状態になっていたのと同様に、この施設そのものがコロナウィルスの感染源になってしまう可能性が高いからである。

最後に、高齢者の方には口腔ケアを行うように指導するべきである。このメルマガの読者の方々には繰り返しになるが、高齢者に対して口腔ケアを行ったところ、発熱発生率、肺炎発症率、そして肺炎による死亡者も半数程度になったというデータがある。高齢者の方が発症すると死亡する率は高い。きちんとした予防が必要である。

新型コロナウィルスの対策として、こうした提案を含めて質問しようと考えていた。大臣の問題発言によって委員会が流れてしまったことが残念でならない。森法務大臣は、発言の責任をとって早急に辞職するべきである。



参議院議員・医師 桜井 充